2011年4月2日土曜日

「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」をみてきました。

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前々から楽しみにしていたレンブラント展をみてきました。

公式サイトはこちら
あの東日本大震災の影響で
開始が延びていたようです。

当日は上野動物園の新しいパンダが
公開されてからすぐの週末。
また、まだ早いとはいえお花見のシーズン。
人はわんさかといました。
パンダ見れたのかな…?
パンダは並んでまで見る気はしないけどなぁ。

レンブラントといえば高校の授業で
「夜警」をみてからすごいなーと感心していた画家。
いまでもそれほど詳しいわけじゃないですけど、
気になる作家ではあったわけです。

さて今回の展示から印象に残った
作品についてつらつらと。


●『聖ペテロの解放』
これはレンブラントの作品ではないですが…。

薄暗い牢に天使が助けにきている情景。
天使にスポットが当たってそこだけが明るく照らされている。
超自然的な力という意味では天使全体ではなく
一部だけが明るいのは違和感があるが、
かえって明るい部分の鮮やかさを際立たせている。
他の部分の平凡さと差がいい。

●『アトリエの画家』
光の扱いが凄まじい。
光と影の画家と言われるのはよくわかる。
キャンパスに反射し部屋全体に広がる光。
キャンバスの側面の浮き出し方。
イーゼルの裏側の影。
じんわりとグラデーションを重ねて、
薄暗い光と薄明るい影が絶妙に
フレームに収まっている。

●『キリスト哀悼』
弟子のフリンクの作品。
ヨーロッパだし、
17世紀とはいえ宗教画は本当に多い。
この絵の前後にレンブラントの
書いたものもあったのだが、
これが印象に残った。
絵としてはレンブラントのほうがいいかな。
なんでかと思うと構図とか光の使い方が
あしたのジョーの力石の控え室に
そっくりだったから。
あしたのジョーはちゃんと読んでないけど、
あそこの場面がすごいのはよくわかる。
ああ、力石はそういう人だったんだなと
本当に納得。

●『病人たちを癒すキリスト』
100グルデン版画とも呼ばれる作品で、
当時1/2グルデンで一般的な版画を買えたことから、
100グルデンの価値があるという意味らしい。

これはすごい。
光と闇が左から右に見事に展開されて行く。
光の中ではとても細い線が使われていて、
光でトンでいる感じがでている、
闇の中では病、障害を抱えた人たちを
これでもかというくらいに書きこんである。
このバランスとパッと見えたときに
視界に同居するぎりぎりのサイズが絶妙。

和紙と洋紙の作品があったが
和紙の方が風合いがあっていい。

●『キリストの埋葬』
版画にはスレートという"版"が存在して
レンブラントは版ごとに大きく変更を
加えることがある事でも有名らしい。
(版が存在するなんて全く知らなかった)

これはそのスレートの違いで
全く絵が変わった作品の一つ。
2枚の絵で全く違う!
手を加えたあとの方が断然いい。
前の版では全体がわかるくらいの作りだったが、
あとの版ではかすかにキリストの周りがわかるだけの
一筋の光が降りている。
同じ版画でこんなことが出来てしまうというのが
驚きだった。

●『ヤンシックス』
ベロアの様な黒の美しさ。
闇ではなく、黒での表現のひとつの回答
と見ることもできるとおもう。
版画でここまで出来るということに
正直に感嘆する。

●『3本の十字架』
ステートが変わる事で情景が全く変わってしまった。
最後の最後で震えるほどの衝撃だった。
『キリストの埋葬』での驚きを味わっていたにもかかわらず。
どちらも単体で素晴らしい作品だけど、
スレート違いでまた別にシリーズ構成しているように思える。
本当にこの作品については
どうやっても言葉にし尽くせない。


今回のまとめ

今回のポスターのコピーは
うますぎます。
あれ見るたびに行こうかなって思っちゃいますよ。

レンブラントの生前での評価は版画画家としての
評価のほうが高かったようです。
私が知っていたのは油絵の方なんですが。
今回は版画作品が中心の展示です。
版画と油絵どちらがいいかといえば甲乙付けがたいですね。
衝撃をうけたという意味では版画に一票入れたいと思いますw
私の勉強不足なだけですがw

『3本の木』についてもちょっと書こうかと思いましたが、
あれを単体で見たときにはそれほど凄さを感じなかったんですよね。
ギャラリートークで解説を聞いて、
おおそれはすごいと納得したんですけど。

ギャラリートークはとても興味深かったです。
東日本大震災の日が関係者のみのプレオープンだったようで
そのエピソードも含めながら
光線的な光と影、精神的な光と影のはなしが
とても芸術家らしいなと思って聞いていました。
もっと歴史的なところとか特徴的な部分の
お話が聞けるかと思っていたので
実は予想とは違ったのですがそれ以上に
有意義な時間だったと思います。

東日本大震災の影響で16時閉館。
家を出る時間が遅くなってしまったため、
美術館に12時半についてトーク1時間半、
美術館での鑑賞が2時間しか取れませんでした。
普通ならこれで十分なのですが、
今回は点数も多かったので最後はどうしても
駆け足になりましたね。
非常に惜しいことをしました。

タイミングが合えば会期中にもう一度行くのも
有りかなと思っています。

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