2010年9月27日月曜日

ドガ展を見てきたよ。

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代休を利用して平日の横浜美術館へ!

やっぱり平日の休みをうまく使わないとね。
映画とか美術館とか平日がいいわー。
一人で行くの好きだからあってるよなぁ…。
行く人がいたとして一緒に行くだろうか…?

…まあ、そんなことは置いておいて。

公式HPはこちら
目玉は何と言っても初来日の『エトワール』でしょうね。
なんでのこの時期にというと、またもやオルセー美術館の改装で
貸し出されたみたい。オルセーどんだけ持ってるんだよ…。
やはり見れなかったことが悔やまれる。

では、作品の感想などを。

●『田舎の競馬場で』

なんといっても他の絵と比べてすっきりシャープ。
見事なまでの構図が印象的。
周りの絵が迷い線がそのままにしてあったり、
書きなおしたりしているので、さらに際立って見える。
馬の"動"の部分は背景に少しあるだけ、
ドガの主題としてはこういう"静"の絵ではなさそうだけど、
とてもよく見えた。

●『ベレッリ家の家族』のための習作 5点

今回の展示では習作が多いのも一つの見どころかもしれない。
これもその中の一つ。(というか一群)
『ベレッリ家の家族』自体は参考に写真で
紹介されているだけだったのが残念。
いとこに当たる少女ジョバンナとジュリアのデッサンが数点。
これがまた二人の性格が見てとれるようで、
聡明な姉ジョバンナに対し、奔放な妹ジュリアだったようだ。
ジョバンナはもうきれいすぎるほどすんなり描けているように見え、
ジュリアについては顔を描くのにとても苦労しているように見える。
ジュリアの方がポーズ的に難しいのかもしれないが、
実際のところどうなんだろう?
ドガは肖像画は多いそうだが依頼では書かずに、
自分が気に入った人物を描いていたという話を聞いて
そんなことが頭に浮かんだのだった。

●『イレール・ドガ』
ドガのお祖父さんの肖像画。
これが何ともカッコいいじじい!
厳格さがにじみ出ている。
老いてなお衰えず!というビリっとした雰囲気が良かった。

●『14歳の小さな踊り子』
すごいです。
今はブロンズですが、印象派展に展示した当時は
蝋製で彩色をしてあり、しかも人毛のかつらをかぶせていたそうです。
当時の再現したものを見てみたいですね…。
立体造形は生前これしか発表していなかったようですね。
他は2次元のためのモデルだったそうで…。
立体造形もいろいろやって欲しかったな。

●『緑の部屋の踊り子たち』
踊り子たちの風景を描くなかで一番綺麗に見えるのが
この横長のキャンバスだと思っている。
いかにも群像であり、その中での空間の取り方が絶妙。

●『腕を組んだバレエの踊り子』
赤を基調として描かれた踊り子の絵。
ぱっと見て、(これってどう見てもポイントは胸だよね?)って思った。
その次はハイライトされている首筋。
他の部分はかなり抽象的に書かれていて、
これらの部分だけいやに写実的。
エロス…。いや、いやらしい感じは皆無なのだが。

●『バレエの授業』
真ん中のじい様が有名なジュール・ペローという振付師で
踊り子たちにレッスンをしているらしい。
はじめに目に入るのは真ん中の振付師。
そのあとにその目の前にいる踊り子をちらっと見るが
そこには特段華がない。
そして、ちょっと全体をゆっくり見ていると踊り子たちの
さまざまなやり取り、しぐさが目に入ってくる。
なんだろこの時間差攻撃…。(私の見方がダメなのかもしれないがw)
遠近法の消失点が絵の中心とはズレていることが
この客観的な感じを与えているのではと思ったり。
これはかなり好きです。
あと結構手前にいる犬もかわいくていいw

●『エトワール』
ポスターにもなっている作品。
有名すぎますね。
現物見る価値はあります。
写真ではどうしても実物とは色合いが違いますから。
まー、見れば見るほど見事。
構図といい、光に浮かび上がる影といい、
踊り子のラインといい。
これも近くから遠くから随分眺めていました。

●『出走前』
ドガが好きだったモチーフの競馬の一作品。
展示の前半にある他の競馬をテーマにした絵と比べて
馬がかなりうまくなっていると思います。
こんだけいろんなもん描いてまだ成長するとか…。
恐ろしい。

●『浴盤(湯浴みする女)』
エトワールも素晴らしいパステルの絵ですが、
パステル調が素晴らしく表れているのはこちらの方だと思いました。
なんとも明るくきれいで、すがすがしさを感じます。
一方、構図的にはわざと奥行きのない俯瞰の絵です。
どうやっても普通にはあり得ない構図が絵のモデルではなく
日常を切り取ってしまったような錯覚を感じさせます。
そう、あたかものぞきのような。
でも、いやらしさは不思議と感じないんですよね。
猥褻なものに囲まれている現代人だからかな…?
当時は結構センセーショナルだったみたいです。

●『草上の二人の浴女』
ドガには珍しく屋外の作品。
二人のうちの奥の一人はかなりのっぺりと色がつけられています。
一方手前の一人にはこれでもかと色が線が重ねられ
素晴らしい質感を演出しています。
これもまさしくポイントを見せているなーと感じました。

●『裸婦半身像』
赤チョークで描かれた絵でほとんど習作のようにも見えます。
これがまたいいハラしてるんですよw
何とも言えずにじっと見てしまうほど。

●『浴後』
いくつか同じ題の作品がありますがこれは大判で
赤を基調にした作品の方。
体のライン、輪郭の雰囲気はドガっぽいし印象派の域。
しかし、赤を基調とした全体の雰囲気としては既にシュール雰囲気。
この絵を描く際に撮ったと言われる写真を見たが
確かに写実だけではない。
絵としての強調、そぎ落としが感じられる。


今日のまとめ

全体をゆっくり回りながら気になった絵に戻ったりして、
2時間半ほど堪能しました。
何ともおなかいっぱいです。
今回は習作が多く見れたのが良かった気もします。
ある有名な作品に至るまでのドガが描きたいポイントが
目に見えるようです。
たとえば服のしわのでき方だったり、
腕のラインだったり、靴への重みのかかり方だったり、
バレエのチュチュの広がり方だったり。

習作のほかの作品でもその描きたいポイントがはっきりしている
という印象は変わりませんね。
むしろそのポイントを見せたいがために他の部分を
あっさりさせたり、抽象的に描いたりしているように見えました。

光と影、構図、フォーカスっていうのがドガに対するイメージですね。
こりゃあ、もっと見たいなぁ。
また、他の作品が来るのを期待したいと思います。

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